抄録
症例は74歳男性. C型肝硬変の診断で近医に定期通院中であった. 2006年1月および5月, 肝S3およびS6の肝細胞癌の画像診断で, transcatheter arterial chemoembolizationおよびradiofrequency ablation (RFA) を受けたが, その後通院しなかった. 2007年8月, 腹部膨満と食欲不振を主訴に近医受診, CT精査で右側腹部, 横行結腸間膜に接する最大径12cm大の腹部腫瘤を認め, 精査加療目的に当科紹介となった. 画像上gastrointestinal stromal tumor, malignant fibrous histiocytoma, 血管肉腫, 肝細胞癌腹膜播種等を疑った. 腫瘤は単発であったため, 2007年9月, 腫瘤摘出術を施行した. 病理組織学的診断は肝細胞癌腹膜播種であった. RFAが播種の原因と思われ, 若干の文献的考察を加えて報告する.