北関東医学
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症例報告
リコンビナントトロンボモジュリン製剤投与が著効した左大腿血管腫による成人発症Kasabach-Merritt症候群
小川 孔幸柳澤 邦雄内海 英貴石埼 卓馬三井 健揮滝沢 牧子小磯 博美横濱 章彦斉藤 貴之半田 寛塚本 憲史村上 博和野島 美久
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2015 年 65 巻 3 号 p. 187-191

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抄録
症例は77歳, 女性. 当科受診の45年前から左大腿腫瘤を自覚し, 23年前に血管腫の診断で30 Gyの放射線治療を施行されている. 今回, 体幹と四肢に広範な皮下出血斑を認め当科入院となった. 検査データでHb 5.7 g/dlと高度の貧血と著明な凝固系検査異常 (Fib 25 mg/dl, PT 10%, APTT 67.9秒, FDP 181.1 μg/ml, TAT 326.8 ng/ml, PIC 11.0 μg/ml), 腎機能障害 (Cr 3.82 mg/dl) を認めた. 左大腿血管腫によるKasabach-Merritt症候群 (KMS), 線溶亢進型の播種性血管内凝固 (DIC) と診断し, リコンビナントトロンボモジュリン (rTM) とトラネキサム酸の投与及び新鮮凍結血漿 (FFP) 補充療法を施行した. 治療開始後, 凝固障害は速やかに改善し, 出血症状も消失した. その後, 左大腿血管腫に30 Gyの放射線照射を施行し, 以後トラネキサム酸内服のみで経過を見ているが, 1年以上に渡り凝固障害の再燃なく, 良好な経過を辿っている. 線溶亢進型DICの急性期治療としてrTMが安全かつ有用であったので報告する.
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© 2015 北関東医学会
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