2022 年 72 巻 2 号 p. 185-196
目 的:リカバリー志向性とは,精神疾患からリカバリーすることができると信じる姿勢のことである.本研究は,専門職者のリカバリー志向性を評価するRecovery Knowledge Inventory(RKI)の日本語修正版を,原著者の許可を得て試作した.
方 法:精神疾患を持つ人の支援経験をもつ看護師および保健師に無記名Webアンケートを実施した.調査内容は属性,精神疾患を持つ人と関わった経験内容,リカバリー志向性を評価するRKIの日本語修正版であった.
結 果:回答数は183件(回答率28.2%)であった.日本語修正版RKIの主成分分析により,7つの主成分に集約された.各主成分は,主成分1【精神症状の重さとリカバリー】,主成分2【リカバリーのプロセスと責任】,主成分3【リカバリーにおける意思決定】,主成分4【リカバリーへの支援とリスク】,主成分5【リカバリー支援の対象】,主成分6【リカバリーへの積極的取組み】,主成分7【リカバリーへの期待】と解釈された.各主成分の構成項目数は,3項目~5項目であった.しかし,主成分6と主成分7は1項目のみであった.
結 論:日本語修正版RKIの因子構造は,原版のものとは異なっていた.しかしリカバリー支援に重要な5つの主成分に集約された.なお主成分6と主成分7は1項目のみで構成されたため,構成項目について検討することが,今後の課題である.