2024 年 74 巻 1 号 p. 79-89
目 的:治療中の若年層乳がん患者が折り合いをつけながら生活を送るプロセスについて明らかにする.
方 法:若年層乳がん患者11名を対象に半構成的面接を行った.分析には,修正版グラウンデット・セオリー・アプローチを用いた.
結 果:乳がん患者は治療が開始され【仕事や家計より治療を優先しなければならない歯がゆさ】や【自分のせいで家族を悲しませる切なさ】などの『乳がん治療による生きにくさの体験』をしていた.また,【病前の自分と変わらない普通の生活をしたいという願い】などの『生活のしにくさにどうにか対応していこうと模索する体験』をし,この二つの体験を行き来しながら『治療中の生活を続けていくための周囲の支援』を受け,『なるようにしかならないという割り切り』を経て,『乳がんとともに今を大切に生きる』に至っていた.
考 察:今までの体験のプロセスを振り返り,自身と向き合えるよう意図的な関わりを行う看護の必要性が示唆された.