北関東医学
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症例報告
家系内で遺伝学的情報が共有困難であった多発性内分泌腫瘍症2型の1例
大崎 綾小澤 厚志新井 茉莉関口 奨石田 恵美吉野 聡松本 俊一堀口 和彦山田 英二郎
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2024 年 74 巻 1 号 p. 91-95

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抄録

【症 例】 50歳代男性[現病歴]側腹部痛あり近医受診.尿管結石と5 cm大の右副腎腫瘍を認め,精査加療目的に当院初診となった.[既往歴]尿管結石[家族歴]次兄:副腎・甲状腺・副甲状腺手術,弟:副腎摘出術,母:60歳代癌死[生活歴]近年は血縁と没交渉[経過]カテコラミン過剰産生を認め,右副腎褐色細胞腫と診断した.尿管結石の併発と濃厚な家族歴から多発性内分泌腫瘍症2型を疑い,甲状腺エコーを行った.右葉上極に1.2 cm大の腫瘍を認め,吸引穿刺細胞診にて甲状腺髄様癌と診断した.遺伝学的検査ではRET遺伝子に病的バリアントを認めた.当初,多発性内分泌腫瘍症2型は家系内にいないと話されたが,その後に血縁者にRET遺伝子変異陽性者がいることが判明した.

【考 察】 核家族化や個人情報保護意識の高まりと共に,遺伝情報共有の困難例が増加している.今後遺伝学的検査がより一般的になるにあたり重要な問題と思われ,報告する.

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