北関東医学
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症例報告
COVID-19関連小児多系統炎症性症候群の症状を呈した全身性エリテマトーデス
上島 可奈子糸永 宇慧森田 孝次野村 滋清水 彰彦
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2025 年 75 巻 3 号 p. 277-283

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抄録

 小児において,COVID-19罹患後に小児多系統炎症性症候群(Multisystem Inflammatory Syndrome in Children: MIS-C)類似の症状を呈する全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus: SLE)の症例は非常に稀であり,日本人小児での報告はない.症例は10歳女児,MIS-Cに類似する症状(発熱,眼球結膜充血,いちご舌,紅斑,下腿浮腫,リンパ球減少,凝固異常)を示し,アスピリン内服と免疫グロブリン静注を行ったが症状は改善せず,後に頬部紅斑,低補体血症,抗ds-DNA抗体陽性からSLEと診断された.プレドニゾロン内服を開始し,症状は速やかに改善した.本症例を含め,COVID-19罹患後の小児SLE症例11例の報告のうち4例では当初MIS-Cが疑われていた.COVID-19罹患後に発熱やリンパ球減少が持続する症例では,MIS-Cに加えSLEなどの自己免疫疾患を考慮すべきである.

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