北関東医学
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原著
腎機能に基づく99mTc-MDP投与量最適化:
大腿部バックグラウンド値を用いた個別化プロトコルの開発
星野 洋満髙橋 稔佐藤 鈴絵
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2025 年 75 巻 4 号 p. 351-358

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抄録

背景・目的:腎機能が低下した患者では99mTc-MDPの体内クリアランスが遅延し,診断に寄与しない不必要な放射線被ばくが生じる.本研究は,日常の骨シンチグラフィ撮像から簡便に得られる大腿部バックグラウンド値(以下,BG値と略す)を体内残存放射能の代替指標として用い,腎機能に基づいた実践的な投与量最適化プロトコルを開発することを目的とした.

対象と方法:2023年1月から12月に前橋赤十字病院で骨シンチグラフィを施行した患者159例を後方視的に解析した.eGFRに基づき患者を慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)分類の5群に層別化し,投与量で正規化したBG値を群間比較した.統計解析にはShapiro-Wilk検定,Levene検定,Kruskal-Wallis検定,Dunnの多重比較検定を用いた.正常腎機能群(G1)を基準とし,各腎機能低下群のBG値比に基づく投与量低減モデルを構築した.

結 果:対象は乳癌114例,前立腺癌45例.BG値はeGFRと有意な負の相関を示した(ρ=-0.557,p<0.001).G1群と比較し,BG値はG2群で12.7%,G3a群で45.4%,G3b群で101.6%,G4+G5群で129.0%有意に増加した.正規化投与量と骨集積カウント値/BG値比(以下,B/B比と略す)の相関分析では有意な関連性は認められず(ρ=0.118,p=0.138),B/B比は投与量ではなく腎機能によって決定されることが実証された.これに基づき提案する投与量低減率は,G2群で16.1%,G3a群で35.4%,G3b群で47.2%,G4+G5群で54.8%であった.

結 語:BG値に基づく腎機能別の投与量最適化により,診断に必要な画質を維持しつつ,腎機能低下患者の放射線被ばくを合理的に低減できることが示された.投与量増加は生物学的飽和現象により無効であることが理論的に示され,本プロトコルは追加コストを必要とせず臨床実装が容易で,核医学診療における放射線防護と個別化医療の推進に貢献するものである.

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