背景・目的:近年各地で災害が発生しており,避難訓練の必要性が高まっている.本研究では,地震災害を想定した抜き打ち避難訓練をA大学保健学科で実施し,前後の行動・意識・ストレスの特徴を明らかにした.
対象と方法:対象はA大学保健学科の学生と教員とした.2025年6月下旬,地震災害を想定した抜き打ち避難訓練を実施した.事前にチラシ掲示とメールで実施要項を通知し,日時は非公開とした.当日は「地震発生」のアナウンス,約2分後に「避難開始」の再アナウンスを行い,指定避難場所は知らせず各自の判断に委ねた.訓練前後にアンケートを実施し,訓練後には安否確認メールにも返信してもらった.
結 果:訓練前のアンケートには70名の回答があり,防災意識の項目では「地震後に役に立つことを進んでやりたい」(肯定的回答)が97.1%であった.訓練当日に外へ避難した者は88名で,指定避難場所に来た者はいなかった.訓練当日に安否確認メールへ返信した者は270名(31.3%)であり,訓練後のアンケートは75名が回答,防災意識の肯定的回答はいずれも9割を超えていた.
結 語:アンケートに回答した者は防災意識が高かった.しかし,多くの対象者はアンケートの返信はなかったため,防災意識は高いとはいいきれない.避難した者やメール返信率が低い要因として,学習形態や時間のばらつきに加え,抜き打ち訓練を日常的に実施してこなかったことが考えられる.今後は,マニュアルの整備と周知,継続的な訓練の実施により,防災行動力の向上を図る必要がある.