抄録
1987-1996年の10年間に群馬大学草津分院に入院しリハビリテーションを受けた70歳以上の患者222例について, 年齢, 住所, 疾患名, 合併症, 障害期間, 入院期間, 入院理由, 介護者, 家族数を検討した.年齢は70歳代が多く, 患者は地元草津町が45%を占めた.疾患別では脳疾患が最多 (38%) で, 患者の70%が合併症を持っていた.平均入院期間は82日であった.高齢ながら温泉を利用したリハビリを希望して遠方より来院する患者が多いが, 本人の意志による入院が多く, 医師の紹介による入院はわずかであった.介護者は女性が81%を占めた.介護者が妻, 夫, 娘, 息子, 嫁 (息子または兄弟の妻), 無しの症例の平均入院期間はそれぞれ58, 71, 75,114, 86,124日であった.家族数は1, 2人がそれぞれ16, 31%で, 独居老人や老夫婦2人暮らしがほぼ半数を占めた.80歳以上の患者についてみると4人以上の家族が多かった.高齢者のリハビリの動機と目標は漠然としていて, 入院は長期化した.温泉療法を活用することでリハビリの意欲は増加しQOLの向上に寄与したと思われるが, 高齢者のリハビリ適応については慎重な検討を要すると思われた.