抄録
脳幹において心臓血管運動調節に関与する神経回路網について最近の知見を概観した.とくに吻側延髄腹外側野は脳幹において心臓血管運動の統合・制御を行う最後の出力野であり, 上位脳幹からの情報を脊髄循環中枢に投射している.脊髄循環中枢を構成する交感神経節後ニューロンは, 脊髄心臓運動ニューロンと脊髄血管運動ニューロンに分類でき, これらに投射する交感神経下行路はその機能によって規則的に配列している.しかしこれら異なった脊髄循環中枢に投射する脳幹のニューロンの機能解剖学的な相違の有無についての報告は少なく, 定まった見解がない.ここで著者は脳幹から脊髄循環中枢に直接投射するグルタメイト作動性ニューロンを中心に機能解剖学的な相違があるか検討した.吻側延髄腹外側野とA5領域において脊髄血管運動ニューロンに投射する頻度がより高かったが, 吻側延髄腹外側野内においてはニューロンの機能的な配列の違いは見られなかった.