聴力検査, 前庭機能検査, 及びMRIで, 診断不能とされた脳梗塞の既往をもつめまい症例17例を, 診断的治療による経過を含めて検討し, その臨床的特徴を明らかにし, その病態について考察を加えた.臨床的特徴は以下のごとくであった.
1) めまいは, 一過性かつ反復性で, 回転性ないし浮動性で, 自発性に, あるいは体動時に起きる.
2) 蝸牛症状が存在しても, めまいに随伴し消長するといったものではない.
3) 眼振検査で, 一過性の中枢前庭障害を示唆する眼振所見が得られることがある.
4) Caloric test で, DP が得られることがある.
5) オージオグラム上, 両側ほぼ同等の低音部の低下が認められる.
以上の臨床的特徴をもつ症例の病態として, 椎骨脳底動脈系の循環障害が考えられた.
抄録全体を表示