北関東医学
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飛び込み分娩症例の検討
菊池 信正小澤 克典戸松 邦也川中子 珠紀
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キーワード: 飛び込み分娩
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2003 年 53 巻 2 号 p. 157-160

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抄録

【背景・目的】 妊娠経過中に一度も医療機関を受診せず, 出産時のみ受診する, いわゆる「飛び込み分娩」の症例を検討した。【対象と方法】1997年1月から2002年9月までの5年9ヶ月間の総分娩数2473例中, 一度も分娩まで医療機関を受診していない, いわゆる「飛び込み分娩」25例 (1.01%) を対象に検討した。【結果】平均年齢は31.4歳で20代が7例, 30代が15例と20-30代が中心で経産婦が圧倒的に多い傾向が認められた.国籍は日本人が19人 (76%), 外国人が6人 (24%) であり, 分娩様式は経腟分娩が多かった.入院から分娩までの時間は10分以内が4例 (16%), 1時間以内11例 (44%), 墜落産3例 (12%) と非常に早い分娩経過をとっており, 妊娠中毒症, 感染症, 児の合併症 (低出生体重, 多指症, ダウン症, 死産等) が多かった.症例の社会的背景として分娩費の未払いが40%存在し金銭的な問題の存在が浮きぼりになった.【結語】飛び込み分娩は母児ともに危険性が高く, その教育, 啓蒙に力を注ぐ必要があるが, 背景には金銭的な問題の存在があり, 複雑な問題が示唆された.

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