北関東医学
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常温体外循環及び局所冷却なしの開心術症例の検討
大滝 章男浜田 芳郎尾形 敏郎岩崎 俊弥戸島 俊一熊倉 久夫高山 嘉朗市川 秀一石川 進森下 靖雄
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2003 年 53 巻 2 号 p. 161-164

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抄録

【背景・目的】軽度低体温体外循環, ice slush使用の方法から, 常温体外循環, ice slush無使用へ手技を簡略化し, 止血関連項目での有用性を検討した.【対象と方法】1998年4月から2001年1月までに施行した冠動脈バイパス術および単弁置換術の43例を対象とした.99年10月よりice slushを用いない常温体外循環による開心術に変更しており, それ以前を低温群, 常温体外循環となってからを常温群とした.【結果】低温群22例, 常温群21例で, 体外循環終了から手術終了までの止血時間が各々, 131±31分, 102±17分と, 常温群で有意に (p<0.01) 短かった.徳中出血量は, 低温群が613±387ml, 常温群が328±149ml, 術後12時間のドレーンからの出血量も, 低温群が248±110ml, 常温群が183±75mlで, いずれも常温群で有意に (P<0.01およびP<0.05) 少なかった.術直後の末梢血中血小板数は, 低温群が8.7±3.0×104/mm3, 常温群が12.8±5.3×104/mm3で, 常温群で有意に (p<0.01) 多く温存されていた.【結語】ice slush使用, 軽度低体温体外循環からice slushを用いない常温体外循環に変更することで, 術中および術直後のドレーンからの出血量が有意に少なくなり, 体外循環離脱後の止血時間も短縮することができた.止血のし易さにおいて, 血小板数の保持が1つの要因と考えられた.

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