抄録
非晶質シリカから微晶質石英への成長過程については、一般にいくつかの中間のシリカ鉱物を経て最終的に石英が生成されることが、天然での産状、および数多くの熱水合成実験により知られている。そして多数の報告がなされているが、その相転移の道筋についてははっきりしていない点も多い。
今回、比較的低温でのアルカリ溶液による合成実験を行い、アエロジェルを出発物質としてクリストバライト、石英への成長過程につき、その結晶形態の変化と結晶構造変化との対応についての検討結果について報告する。観察方法はX線粉末法、TEM,SAED,SEMを併用した。
実験方法
出発物質は球状の高純度無水シリカを用いた。KOH溶液は種々の濃度(0.2~1.1mol濃度)、温度187度、圧力1.3MPで合成した。出発物質は溶液と共に金カプセルに封入しオートクレーブに入れる。合成時間は24時間~100時間である。順次、中間時間で試料を取り出し観察した。測定と観察はまず各合成時間におけるシリカ鉱物の量的比率を調べた。さらにTEMおよび制限視野電子線回折法(SAED)、SEMを用いて、形態、構造、結晶化の状態、集合状態などを調べた。
観察結果
X線粉末法によれば、時間の経過と共に非晶質シリカよりクリストバライトの量が多くなり次に石英のピークが現れ最終的に全て石英に変わる。球状(12nm)のアエロジェルは時間の経過と共に融合して凹凸のある不規則な集合体となる。全体として板状に近い。リング状に近いクリストバライトの回折パターンを示す。(OP-CT)
瘤のような凹凸の激しい板状に近い試料では方位がそろい始めたリングの一部からなる回折パターンを示す。その後、薄い膜状に成長し、それが立体的に配置して球晶のようなかたちになる場合と同じ球晶であるが、厚めの膜が球面に多数張り付いたようなものが多数出来る場合がある。両者は共に最終的には柱状の石英に変わる。
転移の道筋は一通りではないように見える。今回、TEM像とSAED像と同一視野のSEM像との比較が出来たので、形態の変化との対応がしやすかった。