抄録
含水隕石の衝撃変成と微小隕石形成との関連を探ることを目的として,マーチソンCM隕石の衝撃実験回収試料のTEM観察を行った.マーチソンのマトリクスは,主にサーペンティン,トチリナイトからなるが,回収試料では衝撃圧が低い順に,トチリナイトの分解,サーペンティンの分解,オリビンの結晶化という一連の変化が起こっていることが明らかになった.21GPaの試料の組織は,サーペンティンの量が相対的に乏しいものの,phyllosilicate-rich classの微隕石に近く,49GPaの試料はolivine-rich classに類似している.微隕石の形成は,含水隕石の大気圏突入時の加熱だけでなく,衝撃変成における加熱温度の違いでも説明でき,phyllosilicate-rich classは比較的低温で,olivine-rich classはより高温で形成された可能性がある.