抄録
ナクライト隕石は、オージャイト斑晶から構成されるマフィックな火成沈積岩である.可能な親マグマ組成を用い相平衡実験と冷却実験を、白金ワイヤーループ法を用い、全圧1気圧下でCO2/H2混合ガスを導入できる縦型環状電気炉をFMQ条件に制御して行った.相平衡実験では、チタノマグネタイト、オージャイト、かんらん石、斜長石の順に晶出した.また、相平衡実験で得られた液相温度および固相温度を用いて、液相~固相温度間での冷却実験を行った.冷却実験では、やまとナクライトで観察された2層からなるオージャイトのリムの化学累帯構造の特徴を定量的によく再現していた.相平衡実験から形成したかんらん石のモードは小さく、不定形であるがオージャイトに比べて粗粒であった.遅い冷却でのみかんらん石1粒子が観察された.