日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k01-14
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エンスタタイトの弾性波速度に関する分子動力学シミュレーション
*三宅 亮川野 潤
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抄録
【はじめに】エンスタタイト(MgSiO3)は5種類の相(斜方エンスタタイト・プロトエンスタタイト・低温型単斜エンスタタイト・高温型単斜エンスタタイト・高圧型単斜エンスタタイト)が報告されている。近年、斜方エンスタタイトと高圧型単斜エンスタタイトの相転移が、その密度変化から、上部マントルで観察される~210km地震波不連続面(Lehmann-不連続面と呼ばれることもある)あるいは~300km不連続面(X-不連続面と呼ばれることもある)の要因ではないかという発表もある。そこで、エンスタタイトの分子動力学シミュレーションを行い、斜方エンスタタイトと高圧型単斜エンスタタイトの相変化に伴う地震波速度変化をこれらの不連続面を想定した高温高圧下で求め、議論を行った。【分子動力学シミュレーション】分子動力学シミュレーションは分子動力学計算プログラム, MXDTRICL (Kawamura 1996, JCPE #077), を用いて行った。原子間相互作用モデルとしてクーロン・近接反発・ファン・デル・ワールスおよびモース項からなる2体中心力形式を用い、パラメーターはMiyake (1998)による値を用いた。クーロン項の計算にはエワルド法を用い、6400粒子系で三次元周期境界条件を課し、2fs/stepにて運動方程式を解いた。初期構造として斜方エンスタタイトはMorimoto & Koto (1969)によるデータを用い、高圧型単斜エンスタタイトについてはOhashi & Finger (1976)による低温型単斜エンスタタイトを出発構造としし、高圧型に相転移させるために2000K, 20GPaで保持したものを初期構造として用いた。地震波速度を求めるために行った温度・圧力条件は1000および1700K, 0-6GPa (斜方エンスタタイト)10 - 16GPa(高圧型単斜エンスタタイト)で行った。温度制御・圧力制御として強制スケーリング法を用いた。【結果】P, S地震波速度は、Voigt-Reuss-Hill平均を用いて見積もった。1000Kの結果、この温度での相転移圧力は約7GPaでは、P地震波速度は約2%、S地震波速度は約12%の明確な不連続が観察され、また1700Kの結果、この温度での相転移圧力は約9GPaもまた、P地震波速度は約2%、S地震波速度は約7%の明確な不連続により、斜方エンスタタイトに比べ高圧型単斜エンスタタイトの地震波速度は速くなるのが観察された。一方ポアソン比はこの相転移によりどの条件下でも約11%小さくなった。そのため、この相転移が~210km地震波不連続面あるいは~300km不連続面の要因として考えられる。
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© 2004 日本鉱物科学会
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