抄録
コンドリュールは,原始太陽系円盤において固体前駆物質が加熱・溶融・急冷を経て形成されたと考えられる.コンドリュールがいつ形成されたのかについては,短寿命核種26Alを用いてCAI形成から100-300万年後ということがわかってきた.コンドリュールは低圧力下での高温溶融を経験しており,揮発性元素の非平衡蒸発が起こったと考えられる.我々は揮発性元素の硫黄の同位体分析と硫黄の蒸発カイネティクス実験に基づく蒸発モデルによって,コンドリュール前駆物質の加熱が急激(>10^4 K/hr)であった可能性が高いことを示した.この加熱速度は,コンドリュール形成の熱源として考えられる衝撃波加熱や雷加熱と整合的である.年代情報,加熱への制約条件を基に,コンドリュール形成がどこで起きたのかについて,原始太陽や原始惑星系円盤の進化モデルと組み合わせ,いくつかの可能性を議論する.