日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k01-17
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下部マントル条件における(Mg,Fe)SiO3-Al2O3系での相関係およびペロブスカイト相へのFeとAlの固溶
*西尾 大輔藤野 清志永井 隆哉高藤 尚人
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抄録
はじめに MgSiO3ペロブスカイトは,下部マントルの主要構成鉱物と考えられている。下部マントルには上部マントルと同様,Fe,Alなどの副成分が存在し,これら副成分のペロブスカイト相への固溶と固溶に伴う構造変化は,下部マントルの鉱物構成と物性に大きな影響を持つ。従って,MgSiO3ペロブスカイトへのFeとAlの固溶,Feの価数,両イオンの相関,固溶量の温度・圧力との依存性,固溶に伴う構造変化は,下部マントルの構造と運動を理解する上で重要な問題である。特に,MgSiO3ペロブスカイトへのFe固溶に関して,Alとの密接な関連性が近年報告されているが,これらの報告は下部マントル上部条件での実験が多く,下部マントル深部条件における詳細は未だ不明である。我々は,出発物質に(Mg,Fe)SiO3-Al2O3系のゲルを用いたレーザー加熱DAC実験,放射光X線回折実験および回収試料の分析電顕(ATEM)観察で,この系の高圧下での相関系とペロブスカイト相へのFeとAlの固溶の問題に取り組んでいる.今回はこれまでに得られた結果について,報告する。実験 (Mg0.65Fe0.35)SiO3-Al2O3系において,その比率(以下MF:Aとする)を1:0,0.95:0.05,0.85:0.15,0.80:0.20としたゲルを出発物質に用いた。出発物質の組成はXRFおよびSEM-EDSによりチェックを行った。出発物質の酸化還元状態により合成後のペロブスカイト中のFeの価数がどうなるかを議論することも目標の1つであるので,今回出発物質となる各ゲルはFe2+となる酸素雰囲気コントロール下で合成した。高圧合成はYLFレーザーにより,DAC中の試料を両面加熱して行った.ガスケットはReを用い,圧媒体にNaClを用いて,40 GPa,2000 K条件で処理した。得られた合成試料については,放射光X線による高圧その場観察および常温常圧回収試料の測定を行った。回収試料については,イオン研磨法により薄膜を作成し,ATEM観察を行った。結果 XRFおよびSEM-EDSによるチェックの結果,ゲルの組成は配合通りであり,NOxの残留および結晶化がないことを確認した。放射光X線観察の結果,MF:A=1:0では,生成相はペロブスカイト(Pv)+スティショバイト(St)+マグネシオウスタイト(Mw)であったが,Al2O3を加えた系では,上記の生成相および圧媒体には一致しない回折ピークが確認された。われわれのグループが以前行った類似の実験から,MF:A = 0.80:0.20の組成においてはコランダムの出現が予測されるが,現段階では最終的な同定に至ってない。レーザー加熱DAC実験の性格上,サンプル内に大きな温度勾配が生じている可能性があり,準安定相が生成していることも考えられる。これらの不明回折ピークは回収試料からも観察されるので,現在ATEMでの観察,組成分析により,生成相および不明ピーク相の同定および組成決定を進めているところである。また,本研究においてはペロブスカイト中に固溶したFeの価数およびAlとの相関が重要なので,今後電顕のEELS法によるFe価数の定量決定も行っていく予定である。 
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© 2004 日本鉱物科学会
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