日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k03-04
会議情報
福島県石川山花崗岩ペグマタイト産イキシオライトの発見とその結晶構造の精密化
*龍 徹木股 三善興野 純西田 憲正
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
[はじめに] イキシオライトとコルンブ石は,互いに密接な関係を持つNb,Ta鉱物である。 (Grice et al., 1976)。どちらも一般に花崗岩ペグマタイトの副成分鉱物として産出するが (e.g. Cerný and Nemec, 1995),イキシオライトの日本からの産出は報告されていない。 コルンブ石は,化学式AB2O6,A = Fe2+,Mn2+,B = Nb5+,Ta5+で,結晶構造は空間群Pbcna = 14.23, b = 5.72, c = 5.10 Å, Z = 4 である (e.g. Wenger et al., 1991)。イキシオライトは,化学式 (Nb5+,Ta5+,Ti4+,Sn4+,Fe2+,Mn2+)O2 = 1/3・AB2O6であり (e.g. Wenger et al., 1991),コルンブ石の陽イオンがA,B席に無秩序に占有した結晶構造 (空間群Pbcna = 4.74, b = 5.73, c = 5.16 Å, Z = 4) と解釈されている (Nickel et al., 1963)。イキシオライトは一般にコルンブ石よりもTi,Sn,Sc,Wを多く含むことができ (e.g. Wise et al., 1998),天然では,完全な無秩序構造 (イキシオライト) から,完全な秩序構造 (コルンブ石) まで様々な程度の中間物が報告されている (e.g. Ercit et al., 1995)。 イキシオライトの結晶構造はGrice et al. (1976) によって精密化されただけで,等方性温度因子を用いて,R = 14.0 %であった。この原因は,実際にはNb,Ta鉱物の多くは反射電子像においてパッチ状構造などの複雑な鉱物組織を示すにもかかわらず (e.g. Lahti, 1987),イキシオライトとコルンブ石が共生する試料を結晶構造解析したことによると考えられる。 そこで本研究では,福島県石川山花崗岩ペグマタイト産イキシオライトについて,鉱物組織を観察して粉末X線回折により同定し,反射電子像においてその単結晶を抉りだして構造解析を行い,その結晶構造を精密化した。[結果] 粉末X線回折の結果,コルンブ石の特徴である反射が認められ,試料中にコルンブ石の存在が認められた。EPMAによる反射電子像から組織の均質な部分を選び,定性・定量分析した結果,化学組成は (Nb0.361, Ta0.271, Ti0.035, Fe0.200, Mn0.149)O2であった。単結晶構造解析の結果,試料はイキシオライトの結晶構造をもち,結晶構造は異方性温度因子を用いてR = 3.24 % まで精密化された。[考察] 単結晶構造解析から計算したイキシオライトの粉末X線回折図形は,ICDD (No. 71-1808) によるイキシオライトの粉末X線回折データと一致する。このことは,石川山花崗岩ペグマタイト産の鉄コルンブ石中には,イキシオライトが共生することを示す。イキシオライトのM-O平均結合距離と八面体の歪みは,コルンブ石の結晶構造のFe,Mnの入るA席と,Nb,Taの入るB席の値の,中間的な値を示す。これは,イキシオライトの構造では,コルンブ石の陽イオンが無秩序配置している結果によると考えられる。
著者関連情報
© 2004 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top