日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k03-12
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Kalicinite の圧力誘起相転移と双晶の形成について
*小松 一生鍵 裕之永井 隆哉栗林 貴弘Jhon B. Parise工藤 康弘
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抄録

Kalicinite (KHCO3)は、室温大気圧下においてphase II (P21/a)が安定相であり、318Kで高温相であるphase I (C2/m)へ秩序無秩序型の相転移を起こすことが知られている(e.g. Kashida and Yamamoto, 1990)。さらに最近、Kaliciniteの粉末試料について、X線回折(Nagai et al., 2002)や中性子線回折および赤外・ラマン分光法(Kagi et al., 2003)によって、2.8Gpaでの高圧相への可逆的な相転移の存在が確認された。しかし、高圧相の格子定数や空間群については明らかになっていない。そこで本研究では、kalicinite高圧相の結晶構造解析を目的として、単結晶を用いた高圧下その場X線回折を行った。 本研究に用いた試料は、過飽和溶液から室温で析出させて得られた単結晶である。高圧下におけるX線回折実験には、ダイアモンドアンビル高圧発生装置とイメージングプレートX線回折装置(Rigaku, R-axisIV++)を用いた。圧力媒体はメタノール:エタノールの4:1混合液、ガスケットはSUS301ステンレスを用いた。 光学顕微鏡下でダイアモンドアンビルセル内に封入した試料を徐々に加圧していくと、転移圧力において急激な体積の変化と、転移双晶の形成が観察された。高圧相のX線回折パターンを見ると、双晶面に対し垂直な方向にストリークが見られることから、非常に頻繁に双晶を繰り返していることがわかる。得られた逆格子点は、三斜晶系の双晶によって指数付けが可能であるが、結晶構造の詳細や常圧相であるphase I,IIとの関係については、現在解析中である。

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© 2004 日本鉱物科学会
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