本研究では偏光顕微鏡・走査型電子顕微鏡・透過型電子顕微鏡を用いて、南アフリカ西部Namaqua産石灰珪質グラニュライト中の珪灰石と、透輝石のラメラ状組織との方位関係と形状を観察した。珪灰石には複数の方向に伸張する透輝石が含まれている。電子線回折の結果、珪灰石は普通に産出する三斜晶系ではなくパラ珪灰石である。偏光顕微鏡による複数方向の観察から透輝石のラメラ状組織は大きく分けてA_から_Dの4つのタイプに分けられる。後方散乱電子回折法によって結晶学的方位関係を調べた結果、AとC、BとDはそれぞれパラ珪灰石の2回回転軸に対して等価な関係にある。パラ珪灰石と透輝石が特定の方位関係を持っていることなどから、高温下におけるパラ珪灰石と透輝石の固溶現象に由来した離溶ラメラであるといえる。接合面におけるミスフィット率は小さい値を示しており、接合による結晶構造の歪みは界面付近の転位で解消されると考えられる。