日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k04-01
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合成Fe-Mgカンラン石単結晶の波動累帯構造
*西山 忠男宮崎 一博伊東 和彦佐藤 博樹金澤 英樹玉田 攻北澤 恒男小池 正義
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抄録

Ito et al.(2003)において合成されたカンラン石単結晶中に見られる波動累帯構造の詳細を報告し,成因を考察する.これまで2成分系において成長速度の濃度依存性を組み込んだ拡散境界層モデルが提唱されているが,われわれの場合組成変動幅が小さいので問題にならず,既存のモデルでは説明不可能である.ここではメルト中の拡散が2成分系ではなく3成分系で起こると考え,FeOとMgOの拡散係数の大きさが有意に異なる場合はSiO2のアップヒル拡散が生じることを示す.カンラン石の成長によりこのようなアップヒル拡散が生じると,拡散境界層におけるメルト組成は,カンラン石のバルク組成から外れることになり,それにより成長が阻害される.SiO2の濃度勾配が解消され,拡散境界層のバルク組成が再びカンラン石のそれに近くなると成長が再開する.このようなフィードバック機構により波動累帯構造が形成されると考えられる.

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© 2004 日本鉱物科学会
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