抄録
Sr(NO3)2水溶液中で、Sr(NO3)2 (α相)およびSr(NO3)2⋅4H2 (β相)の核形成過程をその場観察した。二相は包晶関系にあり、包晶温度は29.3℃である。α相およびβ相に対する飽和温度がそれぞれ60, 32℃の水溶液を冷却して、それぞれの結晶が析出する過程を観察した。 観察を行った温度範囲5<T<20℃では、α相が析出した後β相が析出する。この際、β相はα相とは別の場所に現れた後、二相は同時に成長する。つまり、二相の間にはエピタキシャルな関係や包晶反応は見られない。これらの事実は、二相の核形成が、相図上の安定領域とは関係なく、成長条件とそれぞれの相の表面エネルギーによって決まる速度で起こることを示している。また、一旦β相が析出すると、二相に対する過飽和度と成長カイネティクスの差から、β相の成長がα相を上回り、結果として包晶を形成する。すなわち、包晶組織は、二相の核形成の順番と、核形成後の各相の成長速度の差が原因となって形成されている。