日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k06-04
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カラシナのウラン吸収能 (他重金属共存下及び陰イオン種による重金属吸収能への影響)
*土肥 輝美鈴木 正哉芳賀 信彦田賀井 篤平
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抄録
はじめに 環境汚染問題の一つとして取り上げられている重金属汚染について、これまで多くの浄化方法が提案されている。その中でも近年注目を集めている手法がphytoremediationと呼ばれる植物を用いた浄化方法である。Brassica juncea(アブラナ科カラシナ)はカドミウムの超集積植物として知られているが、近年カドミウムだけではなくウランの吸収能を持つことが明らかにされた。これまで高等植物でのウラン吸収・生体内での固定に関しては他重金属との相互作用を考慮した研究はなされてこなかった。汚染地には一種類の重金属のみが存在しているという状況は少なく、植物の物質吸収能を浄化手法として利用するのであれば、浄化対象重金属同士の植物による吸収への複合影響と土壌液相中に多くみられる陰イオン種(NO3-, SO42-)による重金属吸収能の差を考慮する必要がある。従って、本研究ではU、Cdの両重金属を吸収可能であるカラシナを用いて、U、Cd単独及び、両重金属共存下での各重金属吸収能における変化を明らかにすることを目的とした。また、溶液中の陰イオン種の違いにより生じた重金属吸収量の差も本研究で確認する。実験 実験試料には、タキイ種苗のイタリア産葉カラシナを用い、播種後3週間のカラシナを吸収実験に使用した。吸収実験条件は以下に示す通りである。・重金属溶液種;(1) UO2 (NO3) 2 (2) Cd(NO3)2 (3) CdSO4 (4) UO2 (NO3) 2+Cd(NO3)2 (5) UO2 (NO3) 2+CdSO4 (6) blankには超純水を用いた。・溶液pH;4 ・温度25℃ ・U, Cd各濃度; 500μM ・吸収時間;24, 48, 72時間 定性・定量分析にはICP-AESを、葉中のU価数を決定する手段として放射光を利用したXANES(X線吸収端近傍構造)測定を行った。組織観察には重金属吸収後に固定・エポキシ樹脂包埋処理を施し、葉・根組織内部をそれぞれFE-SEMを用いて観察を行った。結果 本実験の結果、カラシナはCdを葉、(茎)根で約10mg/g吸収したが、Uでは葉で約1mg/g、(茎)根で約30mg/g吸収した。この結果はU吸収の特徴として(茎)根での吸収量が葉を大きく上回っていることを示す。SEMのEDSによる定性分析結果と反射電子像観察によると、Uは特に根の細胞端部で蓄積されていた。更に、U, Cd共存溶液中での葉におけるCd吸収量が、Cd単独溶液中でのCd吸収量を下回ったことにより、Uの存在がCdの葉への移動を妨げる要因となっている可能性が示唆された。葉中のUは、U単独溶液及びU, Cd共存溶液からのU吸収後も共に6価の状態にあることがXANESスペクトルにより示されたので、葉組織でUが還元されることは無いものとみられる。また、葉での重金属吸収量はNO3-量が多い溶液で高くなっていることが認められた。従ってNO3-のU, Cd両重金属の葉における吸収量増加への関与が予測できる。
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© 2004 日本鉱物科学会
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