日本鉱物学会年会講演要旨集
日本鉱物学会2004年度年会
セッションID: k06-14
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ホウレンソウ葉中シュウ酸カルシウム鉱物二種の存在状態の解明(放射光微小領域X線回折装置を用いた解析)
*土肥 輝美芳賀 信彦萩谷 健治田賀井 篤平
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抄録
はじめに 植物はその生体内で生体鉱物の一つであるシュウ酸カルシウムを形成することが知られている。これらのシュウ酸カルシウム鉱物は根・茎・葉など様々な組織・器官の、異形細胞中の液胞内や細胞壁に生じることが明らかにされており、このことから細胞内カルシウムイオンの調整やカルシウム貯蔵、動物からの捕食妨害の結果形成されるものと、現段階では推測されるに留まっている。植物生体中で形成されたシュウ酸カルシウム鉱物にはシュウ酸カルシウム一水和物(whewellite)とシュウ酸カルシウム二水和物(weddellite)があり、植物によって含まれる鉱物種が異なるが、大部分の植物は主にシュウ酸カルシウム一水和物を含む。しかし、ホウレンソウやドラセナのように一・二水和物の両鉱物を含むものもある。植物中にこれらの鉱物が種類を異にして広く存在している理由や、二種類の鉱物の存在が確認された細胞内での存在状態は明らかにされてはいない。そこで本研究ではホウレンソウ葉中のこれらの鉱物が細胞によって別々に存在しているのか、それとも一つの細胞中で混在しているのかを放射光による微小領域 X 線回折装置(1)を利用して明らかにすることを目的とした。実験試料は市販のホウレンソウを用いた。葉の表皮をはぎ取り光学顕微鏡により直径50 μm 程の膜に包まれた状態の結晶集合体を見出し、そのうちの幾つかを回折用の試料とした。試料は中空スチロール板に貼られたメンディングテープにより保持した。SPring-8, BL47XUに微小領域X線回折装置を設置し、測定を行った。入射X線の波長を 0.7Åに調整し、ピンホール・スリットにより、径15 μm のビームとした。検出系として平板イメージングプレート(IP)を用い試料−IP 距離のキャリブレーションは Si 粉末により行った。撮影法は±20°の振動法で行い露出時間は 30 秒とした。結果及び考察3種類の試料について測定を行った結果、すべての集合体において、whewellite と weddellite 両者の回折が重なった回折パターンを示し、一つの集合体の中に両方の結晶が混在していることが明らかになった。どちらの結晶もパターンは粉末状ではなく細かい単結晶の集合体であることが示された。量的にはwhewelliteの方が若干多めであるように見えるが詳しくは解析中である。以上のようにwhewelliteとweddelliteはそれぞれの微結晶が一つの細胞中に混在していることが分かった。従って、ホウレンソウ葉組織中では、この両鉱物の形成が細胞の違いに依存するわけではないことが示唆された。しかし、この集合体が細胞中の一つの液胞中で形成されているのか、それとも複数の液胞中で形成された各鉱物が集合して存在しているのかは現在のところ不明で、これからの課題である。(1) K.Hagiya et al. , Spring-8 User Experimental Report, No.5, 2000A, (2000)
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© 2004 日本鉱物科学会
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