2022 年 91 巻 p. 27-35
現在、探究的な授業を各教科で行うことが求められている。本稿では、学校司書との高次の協働が、探究的な国語科授業についての教師の学びを促すのではないかとの想定にもとづき、そうした協働を通して教師が何を学び、それはその後の探究的な授業の構想にどのような形で生かされていくのかについて、事例研究を行った。
その結果、次のことが明らかになった。まず、教師が情報活用能力や批判的思考力の視点を国語科の教科内容に取り入れていくうえで、高次の協働が非常に有効であったことである。次に、教師が探究的な国語科授業を構想する際には、教材の同一性や問題の性質の類似性、学習者の学校段階の相違点に着目し、これらの協働から学んだことを様々な形で生かしていたことである。とりわけ、問題の類似性に着目した生かされ方は、探究的な国語科授業を構想する場合に特有のものだと考えられた。