国語科教育
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Ⅲ 実践論文
協同推敲に音読を取り入れた影響の分析――グループ・カンファレンスとの比較を通して――
井上 陽童
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2022 年 92 巻 p. 23-31

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抄録

先行研究では、協同推敲指導に音読を取り入れることで、学習者にどのような効果があるのかについて十分に示されていない。そのため、本研究では新たに音読による協同推敲を開発した。その上で、協同推敲に音読を取り入れたことによる学習者への影響を明らかにするために、小学5年生を対象にグループ・カンファレンスと比較しながら調査を実施し結果を分析した。

その結果、協同推敲指導に音読を取り入れることで、書き手が自身の下書きの改善点や良い点を発見しやすくなる効果があることが明らかになった。具体的には、書き手は自分の声や他の学習者の声を材料として、修正の必要がある箇所を特定したり改善した箇所の適否を確かめたりしている姿が導出された。今後の課題は分析対象を拡大した上で、推敲指導の長期的な実証研究を通して、学習者の変容を明らかにすることである。

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© 2022 全国大学国語教育学会
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