抄録
遠隔授業の実践にあたっては,対面での授業と比較して,より多くの点に配慮する必要がある。本研究では,異なる背景を持つ受講者間における遠隔授業に対する評価,ならびに,遠隔授業に対する評価の観点に注目し,望ましい遠隔授業の設計と展開の検討を行った。小学校と高校を対象とした実践を通して,遠隔授業の成立に求められる要素として以下の2点が示された。①講師と受講者とのコミュニケーション品質の確保。②リアルタイム性を重視した相互対話に基づく授業展開。なお,これらの知見は,遠隔地を対象としたサイエンス・コミュニケーションの実践においても,有効な視座となることが予想される。