筆者は1989年から1894年まで、Macintoshを使いながら学生に「教養演習」という授業科目のなかでHyperCardを教えてきた。また、1992年から1995年現在、文学部英文学科の専門科目で「英語教育工学」という科目を担当している。そこでもやはり、HyperCardベースの教育を行ってきた。HyperCardを教育の中心に据える理由の第一は、かつてのPCにおけるBASICのように、Macintoshにはハードウエアを購入すると無料でバンドルされるソフトウエアとしてHyperCardがあったからである。しかし、理由はそれだけではない。 HyperCardが、いわゆるHyperTextのコンセプトをもっとも早く実現したソフトウエアであったからだ。筆者はHyperCardをコースウエアとして構成したいという念願から、1992年からの「英語教育工学」の授業を自作のコースウエアで行っていた。1994年6月にブラザー販売から出版された“HyperCard Lessons”はこの「英語教育工学」の授業の中心教材として開発されたものである。ここでは、情報教育のあり方の一つとして、マルチメディアを意識したオブジェクト指向プログラミング言語としてのHyperCardの観点から、HyperCard Lessonsの構成を論じる。また、その応用として著者によって開発され、ユニテ(株)から出版されたフランス語教材“デジタルAllons-y!”を紹介する。