1958 年 15 巻 164 号 p. 829-838
過硫酸塩とトリエタノールアミンを酸化還元触媒に用い, アクリロニトリルの水系沈殿重合およびラウリルアルコール硫酸エステルソーダを乳化剤に用いて水系乳化重合を行い, その見かけの重合速度と数平均重合度を求め, 重合諸条件との関係を調べた。見かけの重合速度はいずれの重合方法の場合にも単量体濃度の3/2乗および触媒成分の各濃度の1/2乗に比例し乳化重合の場合には乳化剤の濃度の低いところではその3/5乗に比例することを認めた, 数平均重合度はいずれの重合方法でも大差なく, 重合率が20~40%のときに最大になる。以上のことから沈殿重合も乳化重合もほぼ同じ機構で重合が起ると推論し, 水溶液と反応の場における単量体と活性ラジカルの濃度を区別して考え, 速度式を導びき, 見かけの速度式と同じ形のものを得た。