織物の曲げは撚糸 (紡績糸を含めて) の曲げに帰着することは最近のしわに関する研究からわかってきた。しかしながら曲げ糸の屈曲部の横断面の形状については構成単繊維自体の形状, 性質およびヨリの強弱が関係するので, あまり研究がなされていない。ここでは撚糸の曲げを扱う前に, 糸の構成因子である単繊維の屈曲による横断面の形状はいかなるものであるか弾性論より解析し, ナイロンガットを例として実験を行ない, 繊維の種類, 繊度により異なるであろうけれども, 繊維直経と曲率半径の比が0-1くらいまでは凝似ダ円となり, 1以上はそら豆に近い形になる。とくに1以下なら円として取り扱っても大きな誤差がないこともわかった。