1960 年 17 巻 177 号 p. 44-47
強塩基性および弱塩基性アニオン交換樹脂と酸性染料とのイオン交換反応の速度ならびに平衡を調べた。樹脂粒径P (mm) と交換量E (meq/g) との関係を求めると, log Eとlog Pとは直線関係にあり, かつlogEの値は経時的に増大することから樹脂表面のみならず樹脂相においてもイオン交換反応がおこっていることが認められた。次にイオン交換速度はカチオン交換樹脂の場合と同横に, E=ktn (E: 交換量, t: 接触時間, k, n, はそれぞれ定数) が成立し, また反応速度は温度によって著しく影響される。その他, 弱塩基性樹脂による染料の吸着量は塩型樹脂のみ有効であって遊離塩基型樹脂の場合はきわめて少ないこと, アルコール溶液中における染料イオンの吸着は水溶液の場合に比べてきわめて小さいこと, などを認めた。最後にイオン交換平衡を調べ, Freundlichの等温吸着式がよく適合することを見出した。