高分子化學
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四塩化スズによるスチレンのカチオン重合
第10報 添加物の共触媒作用と禁止作用
東村 敏延岡村 誠三
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1960 年 17 巻 177 号 p. 57-63

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抄録

SnCl4を触媒とするスチレンの30℃における重合に対するトリクロル酢酸, 酢酸およびメタノールの添加の影響をBF3・O (C2H5) 2を触媒とする場合と比較した。これらの添加物は重合条件によって重合を加速する場合もあれば抑制する場合もある。このことは, これらの添加物が触媒と錯合体を生成して開始反応に影響すると同時に遊離のまま停止剤として作用するとして説明される。酸性の強いものは共触媒となり, 塩基性の強いものは停止剤となる傾向にあるが, 一義的に共触媒と重合禁止剤を区別することは困難であった。上述の添加物の二つの作用を仮定することによって, 実験結果が動力学的に合理的に説明されることが明らかとなった。

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