抄録
芳香族シアナミド化合物のシアナミド基のオルト位にアルキル基を導入し, 反応性を抑える試みを行った. その結果, 反応速度はアルキル基の嵩高さに依存し小さくなることを確認した. その効果の解釈を半経験的分子軌道法を用いて試み, 以下の結果を得た. オルト位へのアルキル基導入による立体的な反発がシアナミド基のねじれを引き起こし, ベンゼン環とシアナミド基とのπ共役が切れるのに伴ってシアナミドの窒素上の電子密度を増大し求核性が増大する. また, ニトリル基の求電子性が増大するのと同時に, HOMO-LUMOのエネルギー差△Eを大きくする. これらが, 相対的にシアナミド化合物の反応速度定数を低減させる原因であると考えられる.