2021 年 42 巻 p. 126-143
本稿は『児童・生徒作文コーパス』を資料とし、小学1年生から中学3年生までの児童・生徒が「たのしい」という形容詞をどのように用いているのかを、感情の誘発要因に注目して分析を行った。その結果、「たのしい」と表現する際の感情の誘発要因には、①自身が体験したこと、②他者と一緒に体験したこと、③ある行為の上達を感じたり、達成感を得たりしたこと、④自身が今後ある行為をすること、⑤他の人がある行為をする様子、⑥他の人が今後ある行為をすること、⑦他の人が自身にある行為をしてくれたこと、という7つがあることが明らかになった。また、学齢によって「たのしい」と表現する際の感情の誘発要因が異なっていることについて述べた。