ことば
Online ISSN : 2424-2098
Print ISSN : 0389-4878
個人研究
日中同形語の相違から見る日本語における漢語動詞の位置付け
―主語名詞の相違を中心に―
吉 甜
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2021 年 42 巻 p. 144-162

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抄録

日中両言語における同形同義語には、文体的な相違があることが指摘されてきた。しかし、文体的な相違で説明できないAT同形同義語が存在し、その相違は主語名詞の使用に関わる。本稿では、主語名詞の相違を中心に分析・考察した。その結果、日本語では動作動詞かつ他動詞として使われる同形同義語(以下:AT同形同義語)の使用はその漢語の基本義と使用場面から制限されているのに対し、中国語ではそのような制限が弱いという相違を明らかにした。そして、中国語との対照から、日本語における漢語動詞と和語動詞は文体的な対立があるだけではなく、漢語動詞である同形同義語は、具体的な動作・行為を表す場面でのみ使われるのに対し、その同形同義語に対応する和語動詞は、抽象的、比喩的な場面においても用いられることも明らかにした。

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© 2021 現代日本語研究会
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