ことば
Online ISSN : 2424-2098
Print ISSN : 0389-4878
個人研究
課題解決場面における「不同意コミュニケーション」の談話展開
―日本語と中国語の比較を中心に―
王 昌
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2024 年 45 巻 p. 93-110

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抄録

本研究の目的は、談話展開の観点から課題解決場面において「不同意コミュニケーション」が生じる際の日中両言語の共通点・相違点を明らかにすることである。日本語の会話データは『日本語日常会話コーパス』を使用し、中国語の会話データは筆者が収集したものを使用した。第1の不同意表明のストラテジーについて、両言語の使用率上位3種類が異なり、日本語においては「否定の理由」単独の使用率が比較的高く、中国語においては「否定の理由」を述べる際に、明示性の高い「直接的な否定」との組み合わせが多く見られた。また、第1の不同意表明以降の展開パターンについて、両言語共通で確認要求型、代案要求型、理由述べ合い型、相手意思尊重型、解決策提示型というパターンが確認された。最後に、終結の仕方については、日本語では「合意形成標識あり」の出現回数が、中国語では「合意形成標識なし」の出現回数が有意に多いという結果になった。

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© 2024 現代日本語研究会
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