交通学研究
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都市鉄道の混雑緩和と利用促進が温室効果ガスの排出量に与える影響
髙橋 達
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2021 年 64 巻 p. 91-98

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抄録

本論は都市鉄道の混雑緩和や利用促進が温室効果ガス(CO₂)の排出量に与える影響を定量的に分析する。居住地と交通手段を選択する均衡モデルに道路と鉄道の混雑を導入した。日本の三大都市圏の平均的な都市を想定してパラメーターを設定し、シミュレーションにより都心部の鉄道混雑緩和投資と補助金による鉄道の利用促進がCO₂の排出量に与える影響を分析した。 都心部の鉄道混雑緩和投資として東急東横線渋谷・横浜間の改良工事と同規模のプロジェクトの影響を分析した。このプロジェクトにより交通部門のCO₂排出量を削減できるものの、住宅部門の排出量の増加が大きく、都市全体では排出量が0.03%増加してしまう。鉄道への補助金政策では自動車への走行税(5円/ km)を財源として鉄道利用者に一律の補助金を支給する場合の影響を分析した。この政策は、交通部門と住宅部門ともにCO₂排出量を削減させ、都市全体では0.3 %程度削減できる。

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© 2021 日本交通学会
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