2022 年 65 巻 p. 27-34
「ストック効果」は第5次社会資本整備重点計画においても多用されており、概念上定着したとみてよい。しかし、効果の検証はインフラが区間別に供用され、整備効果が発現する範囲の確定が難しいこともあり、多くが事例の積み重ねにとどまる。そこで本稿では、統計的因果推論の代表的な手法である差の差分析を用いて、東日本大震災後に整備が進む復興道路のストック効果の計測を試みた。分析から、ストック効果が発現したことが明らかになったほか、仙台市からの距離が増大するにつれて整備効果が減衰することや、開通からの年数の経過によって整備効果が累積され、大きくなることなどが明らかになった。