フォーラム現代社会学
Online ISSN : 2423-9518
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学術誌のエートスとシステム―ソシオロジ200号刊行を記念して―
『ソシオロジ』のエートスとシステム
吉田 純
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2022 年 21 巻 p. 92-103

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抄録

本稿は、社会学の総合学術誌『ソシオロジ』のエートスとシステムを、いくつかのデータを通して考察し、今後の学術誌のありかたについて考えてゆくための一助となる資料を提供することをめざす。2.では『ソシオロジ』のエートスとしての「同人誌の精神」と、それを実現するための査読システムとの関係について、基礎的な情報を整理する。3.では、『ソシオロジ』と『社会学評論』の比較により社会学の研究方法のトレンドを分析した先行研究を通して、『ソシオロジ』の特性を探る。4.では、『ソシオロジ』と関西社会学会の機関誌『フォーラム現代社会学』を計量テキスト分析等の方法によって比較し、同様に、『ソシオロジ』の特性を探る。5.では、『ソシオロジ』192~197号の「編集後記」に注目し、計量テキスト分析によって、同人誌のエートスと査読システムとの関係がはらむ緊張関係についての編集委員の意識を分析する。最後に6.では、以上の分析を踏まえて、今後の学術誌のありかたへの展望として、査読システムに内在する権力関係への反省作用について考察する。

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© 2022 関西社会学会
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