「新しいパラダイムにもとづく議論、大胆な冒険を行うための開かれた学術誌」を目指して刊行を続けてきた『ソシオロゴス』は、今どのような位置にいるのか。本稿では、『ソシオロゴス』の論文掲載者や査読者に関する基本的な検討をもとに、同誌の「エートスとシステム」の変遷を示す。その変遷の見通しを示すならば、同誌は教員の関与を離れた、東京大学社会学研究室の博士課程院生による「自主管理」的な研究発表媒体から、「若手研究者の公共財」として、その役割を変化させてきた。さらに、近年は各投稿者の専門性を追求するかたちで査読審査制度の運用実践が営まれている。
同誌の今後の展望として、「(若手)研究者の公共財」としてのシステムを維持しつつ、幅広いアクターの関与する新たな「自主管理」のためのエートスを模索することが、まずは求められる。