2015 年 2015 巻 62 号 p. 63-66
ナシ萎縮病に対する品種間差の有無を調べるため,現地調査および接種試験を行った。「幸水」,「豊水」,「新高」を栽培している生産者への聞き取りによる発生調査では,萎縮病の発病は「幸水」が最も多く,「新高」が最も少なかった。現地圃場における「幸水」,「新高」の解体調査では,「幸水」では萎縮病に特徴的な腐朽が確認されそこから萎縮病菌が検出されたが,「新高」では特徴的な腐朽が認められず萎縮病菌も検出されなかった。「幸水」,「豊水」,「新高」,「あきづき」の苗木へのナシ萎縮病菌の接種により,「幸水」では病徴が再現されたが,「新高」では再現されなかった。また,接種によって生じた腐朽の長さは「幸水」が「豊水」,「新高」,「あきづき」より長くなった。これらのことから萎縮病の病徴発現および材質部の腐朽伸長には品種間差があり,「幸水」は他品種より感受性であることが明らかとなった。