コムギ黒節病の防除対策技術を構築するため,本病に対する防除効果が高く,かつ,ほ場適応性を有する種子消毒法の検討を行った。黒節病菌を保菌しているコムギ「さとのそら」種子に対し,金属銀水和剤による浸漬処理および粉衣処理は,播種後の苗立ちおよび生育経過と防除効果から考察してほ場適応性が高く,実用性が高いと考えられた。また,銅水和剤による種子粉衣は,ほ場における苗立ちおよび生育経過は無処理と同程度であったが,防除効果には試験により差が認められた。次亜塩素酸ナトリウム液は防除効果が認められるものの,種子のロットによって苗立率が低下する場合があった。乾熱殺菌処理は苗立率および防除効果とも十分ではなかった。 冷水温湯浸漬は防除効果が認められる場合もあったが,苗立率が大きく低下する事例があることが示された。