2017 年 2017 巻 64 号 p. 98-103
摘要 アブラムシ寄生蜂ナケルクロアブラバチの雌成虫およびマミーに対する各種農薬の急性毒性および雌成虫に対する影響日数をIOBC/WPRS の農薬毒性区分(Hassan, 1994)に従い評価した。殺虫剤14剤の雌成虫に対する補正死虫率は,処理葉接触法により試験した結果,クロルフェナピル水和剤およびピリダベン水和剤が100%で最も高く,影響大と評価された。次いでアセタミプリド顆粒水溶剤,エマメクチン安息香酸塩乳剤およびレピメクチン乳剤が98%,スピノサド水和剤が82%で,影響中と評価された。その他8殺虫剤の補正死虫率は1~10%と低く,影響無であった。12殺菌剤の補正死虫率は,葉片浸漬法により試験した結果,0~2%と低く,影響無であった。補正死虫率が高かった殺虫剤5剤の影響日数(影響無になるまでの日数)は,処理葉接触法により試験した結果,クロルフェナピル水和剤は21日以上,アセタミプリド顆粒水溶剤は21日,エマメクチン安息香酸塩乳剤およびスピノサド水和剤は14日,レピメクチン乳剤は7日であった。マミーに対する影響は,直接散布法により試験した結果,供試した殺虫剤14剤及び殺菌剤12剤の全てで影響無と評価された。