2020 年 67 巻 1 号 p. 35-38
水稲害虫であるイチモンジセセリに対する防除を効果的に行うためには,防除適期である若~中齢幼虫発生期を的確に予測し,薬剤散布を行うことが重要である。本研究では,白色粘着トラップによる成虫モニタリングとメッシュ農業気象データを用いた有効積算温度計算による幼虫発生時期の予測について検討した。まず,2017~2019年において茨城県龍ヶ崎市の現地圃場で白色粘着トラップによる第1世代成虫と圃場内観察による第2世代幼虫の発生状況を調査した。次に,成虫がトラップに初めて捕獲された調査日を羽化盛日として起算日に設定し,メッシュ農業気象データを用いた有効積算温度計算により第2世代幼虫の発生時期を予測した。その結果,メッシュ農業気象データを用いて予測した幼虫の発生時期は,圃場で観察された幼虫の発生時期とほぼ適合した。また,白色粘着トラップによる成虫モニタリングと既存のシステムであるJPP-NET(日本植物防疫協会)の有効積算温度計算による予測結果とも1~2日の誤差でおおむね一致した。以上のことから,トラップによる成虫モニタリングとメッシュ農業気象データを用いた有効積算温度計算により本種の第2世代幼虫の発生時期を一定の精度で予測できることが示唆された。