関東東山病害虫研究会報
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67 巻, 1 号
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特別講演
  • 山本 敦司
    2020 年 67 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    農薬に強くなった薬剤抵抗性病害虫が,農業生産者や現場の指導員を悩ませている。そのため,薬剤抵抗性リスクの低減を考えた後手に廻らない薬剤抵抗性管理の必要性がクローズアップされている。近年は、薬剤抵抗性の諸研究としての薬剤抵抗性リスク評価が進展し,試験研究成果も充実しつつある。しかし,その研究成果に基づく薬剤抵抗性管理・対策は現場ファーストに実行しなければならないが,その考え方や方法は生産者にとっては難解である。そのためには生産者と専門家・指導者との間で,現場の問題と技術的解決策を相互に分かりやすく理解しあうための情報伝達とその共有が必要となる。これは双方向の薬剤抵抗性リスクコミュニケーションである。本稿では,薬剤抵抗性管理を難しくしている問題点,その解決策の体系的な考え方を解説する。さらに薬剤抵抗性リスクコミュニケーションが成功した 6 つのケーススタディ(事例)と新たな抵抗性対策法の事例を紹介し成功のポイントを抽出する。それによって,効率的で後手に廻らない「みんなが得する薬剤抵抗性管理」を考え,今後の病害虫防除と農業生産性の向上に繋げたい。

(畑作物・野菜の病害)
  • 山内 智史, 吉田 重信
    2020 年 67 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    トマトの施設栽培において葉かび病は重要病害の一つに挙げられる。特に,化学合成農薬の不使用を基本とする有機栽培では本病が施設内で蔓延することがあり,前作で利用した誘引資材等に本病菌が生残し,次作の伝染源となる可能性が考えられる。そこで,伝染源の持ち込み防止を目的として,再利用する誘引資材の温湯浸漬処理を想定し,本病菌の分生子懸濁液を各種温度条件で処理した結果,50℃以上,10分間の条件で死滅した。次に,太陽熱土壌消毒を実施しているビニールハウス内の蒸し込み条件を利用した誘引資材や施設の消毒の有効性を評価するため,2018年9月~10月および2019年5月~8月に,本病菌をハウス内の蒸し込み条件下で1週間静置した結果,いずれの処理時期においても死滅が確認された。以上のことから,温湯浸漬処理やハウス蒸し込み処理は本病菌の殺菌に有用であることが明らかとなった。

  • 林 可奈子, 田中 弘毅, 宮本 拓也, 渡辺 賢太, 金田 真人, 鹿島 哲郎, 小河原 孝司
    2020 年 67 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    茨城県のキョウナ(Brassica rapa L. Japonica group,別名ミズナ)栽培では,夏期を中心に多発生する立枯れ症が問題となっている。主原因の一つである萎凋病を引き起こすFusarium属菌について,各種アブラナ科作物に対する病原性により菌種の検討を行い,現地での発生状況について調査した。2009年に結城市のキョウナ圃場で分離し,茨城県農業総合センター園芸研究所に保存されていた09060-2菌株は,キョウナやカブ等に対して強い病原性を示したものの,キャベツおよびダイコンに対する病原性は弱く,F. commune f. sp. rapaeと考えられた。2016年に行方市の農家4戸で夏期を中心に発生したキョウナ萎凋病罹病株から分離したFusarium属菌10菌株のうち,3菌株はキャベツに対し強い病原性を示した一方,ダイコンに対する病原性は弱かったことからF. oxysporum f. sp. conglutinansであり,7菌株はキャベツ,ダイコンに対して病原性がない,もしくは弱かったことからF. commune f. sp. rapaeと考えられた。本県では2種類のFusarium属菌がキョウナ立枯れ症の発生に関与していることが明らかとなったが,同一ほ場における2菌種の混発事例は確認されなかった。

(花卉・花木・樹木の病害)
(イネ・ムギの虫害)
  • 石島 力, 石崎 摩美, 世古 智一, 平江 雅宏
    2020 年 67 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    水稲害虫であるイチモンジセセリに対する防除を効果的に行うためには,防除適期である若~中齢幼虫発生期を的確に予測し,薬剤散布を行うことが重要である。本研究では,白色粘着トラップによる成虫モニタリングとメッシュ農業気象データを用いた有効積算温度計算による幼虫発生時期の予測について検討した。まず,2017~2019年において茨城県龍ヶ崎市の現地圃場で白色粘着トラップによる第1世代成虫と圃場内観察による第2世代幼虫の発生状況を調査した。次に,成虫がトラップに初めて捕獲された調査日を羽化盛日として起算日に設定し,メッシュ農業気象データを用いた有効積算温度計算により第2世代幼虫の発生時期を予測した。その結果,メッシュ農業気象データを用いて予測した幼虫の発生時期は,圃場で観察された幼虫の発生時期とほぼ適合した。また,白色粘着トラップによる成虫モニタリングと既存のシステムであるJPP-NET(日本植物防疫協会)の有効積算温度計算による予測結果とも1~2日の誤差でおおむね一致した。以上のことから,トラップによる成虫モニタリングとメッシュ農業気象データを用いた有効積算温度計算により本種の第2世代幼虫の発生時期を一定の精度で予測できることが示唆された。

  • 石島 力, 石崎 摩美, 平江 雅宏
    2020 年 67 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    イネカメムシは,茨城県におけるイネの重要な害虫であったが,1970年代後半以降急激に減少し,その後は生息もほぼ確認されていなかった。しかし,2010年以降増加傾向にあり,特に南部においてその傾向は顕著である。そこで2018年および2019年の2年間,茨城県南部の水田内における本種の発生消長をすくい取りおよび粘着トラップにより調査した。その結果,出穂が7月中~下旬の「一番星」の圃場では出穂直後から越冬世代成虫と考えられる個体が確認された。さらにその1~2週間後に幼虫の発生もみられた。一方,出穂が7月下旬~8月上旬の「コシヒカリ」の圃場では出穂前から成虫が確認された。幼虫は出穂とほぼ同時期に捕獲された。また,これらの幼虫のうちの一部は第1世代成虫になったと考えられた。実際,8月下旬には第1世代成虫と考えられる個体が多く発生し,ピークが認められた圃場もあった。出穂が8月中旬の「ゆめひたち」および出穂が同時期となる作型の「コシヒカリ」の圃場では,出穂前から成虫が確認され,これら成虫の多くは第1世代成虫と思われた。幼虫は出穂直後から捕獲され,その一部は9月中旬以降に第2世代成虫として羽化した可能性があると考えられた。また,これまで本種のトラップによる調査法はなかったが,今回の調査により成虫のモニタリング法として粘着トラップの有用性を確認できた。

(畑作物・野菜の虫害)
  • 櫻井 民人, 石井 雅久, 石井 真吏, 久保田 健嗣, 大西 純
    2020 年 67 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    ピレスロイド系薬剤のエトフェンプロックスが編み糸に練り込まれた防虫ネットとエトフェンプロックスを含まない同規格の防虫ネットを用いた室内試験により,供試した有翅アブラムシ類3種およびアザミウマ類成虫4種すべてにおいて,エトフェンプロックスを含む防虫ネットを通過する個体が少なくなることが明らかになった(アブラムシ類:ネット目合い0.75 mm,アザミウマ類:同0.40 mm)。また,目合い0.75 mmの本資材とエトフェンプロックスを含まない防虫ネットのいずれかを選択させる試験では,供試したアザミウマ類成虫4種すべてにおいて,本剤を含む防虫ネットを忌避する傾向が認められた。これらの結果から,エトフェンプロックスが編み糸に練り込まれた防虫ネットは虫が長くとどまらず,害虫の侵入を抑制できる可能性があると考えられた。

  • 太田 泉, 豊田 周子
    2020 年 67 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    Mitochondrial DNA sequences coding cytochrome c oxidase subunit I (COI) gene of 14 hymenopterous parasitoid wasps on the garden pea leafminer fly, Chromatomyia horticola were investigated. Dacnusa nipponica, Opius sp., Halticoptera circulus, Sphegigaster hamugurivora, Chrysocharis pentheus, Chrysocharis pubicornis, Closterocerus trifasciatus, Diglyphus albiscapus, Diglyphus isaea, Neochrysocharis formosa, Pediobius metallicus and Pnigalio katonis have different DNA sequences and can be discriminated among each other. Diglyphus minoeus and Merismus sp. were failed to determine the sequences.

  • 有本 誠, 日本 典秀, 長坂 幸吉, 小俣 良介, 岩瀬 亮三郎
    2020 年 67 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    ネギネクロバネキノコバエ成虫の効率的なモニタリングに資するため,黄色粘着板にトラップされた虫体の野外での放置期間と種特異的プライマーを用いたPCR成功率との関係を調査した。本種成虫を1枚あたり120頭ずつ付着させた黄色粘着板を,周囲が開けており日光が直射する地点(日向)と南側に建物があり日光が遮られる地点(日陰)に2枚ずつ設置した。調査は春季,夏季,秋季,および冬季の4回実施し,各調査時期について,粘着板設置から1,8,22,36,50,および64日後に虫体を粘着板1枚あたり16頭ずつ回収し,種特異的PCRを行った。PCR成功率は,日向においても,日陰においても,またいずれの時期においても,虫体の放置期間が長くなるにつれて低くなる傾向が見られた。虫体の放置期間とPCR成功率との関係をロジスティック回帰分析により解析した結果,日向と日陰,放置期間で有意差が認められた。また,日向の設置において75%のPCR成功率が確保される放置期間は11.9日以内と推定された。

  • 有本 誠, 日本 典秀, 小俣 良介, 岩瀬 亮三郎
    2020 年 67 巻 1 号 p. 59-61
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    ネギネクロバネキノコバエをクロバネキノコバエ科多数頭から検出するための手法として,種特異的プライマーを用いたPCRの有用性を調査した。幼虫及び雄成虫について,本種1頭と残りの頭数のチバクロバネキノコバエから成るサンプル(10頭,100頭,200頭,400頭,800頭)からDNAを抽出し,種特異的プライマーを用いたPCRを行った。その結果,幼虫,雄成虫共に,全ての頭数区から本種1頭を検出できた。これらの結果は,本種のモニタリングにおいて採集されるクロバネキノコバエ科多数頭からの本種の迅速かつ確実な検出に本手法が有用であることを示唆する。

  • 八板 理, 春山 直人, 福田 充
    2020 年 67 巻 1 号 p. 62-64
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    ニラ栽培で問題となるネダニ類に対して,作付終了後のほ場における簡便な密度低減策として,被覆資材を用いた高温処理による防除効果を検証した。栃木県農業試験場内の施設ほ場において,ニラの作付終了後にニラ地上部を刈取り,厚さ0.1 mmの農業用ビニルで地表全面を被覆しハウス開口部を密閉する熱処理区と,ビニル被覆および密閉をともに行わない無処理区間で比較試験を行った。試験期間を①2019年3月15日から21日間,②2020年2月13日から42日間の2処理としたところ,熱処理区のニラ株元,地下5 cmの地温は①70.6℃,51.1℃②53.3℃,44.8℃まで上昇した。熱処理区では地下5 cmの最高地温が40℃に達した日は処理期間のうち,①計16日②計11日あり,ネダニ類の補正密度指数が①3月29日で1.4,②3月19日で0.4まで減少した。このように,作付終了後に被覆資材を用いた土壌高温処理を行うことにより,次作に向けたほ場内のネダニ類密度の低減が可能であると考えられた。

  • 北林 聡, 佐藤 壮峻
    2020 年 67 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    長野県内で2015年および2017年に採集したコナガ(Plutella xylostella)の 3 齢幼虫を用い,2015年は 15 種類,2017年は 14 種類の薬剤の感受性検定を葉片浸漬法により実施した。ジアミド系殺虫剤であるフルベンジアミド水和剤はのべ 20 個体群中すべての個体群,クロラントラニリプロール水和剤は 16 個体群で感受性の低下が確認された。フルベンジアミド水和剤では薬剤の濃度にかかわらず同等の補正死虫率を示す個体群が認められ,リアノジン受容体変異による抵抗性個体密度の増加が感受性低下の要因と考えられた。シアントラニリプロール水和剤,スピノサド水和剤,エマメクチン安息香酸塩乳剤,BT 水和剤 Aizawai 系(生菌),BT 水和剤 Kurstaki 系(死菌)およびカルタップ水溶剤に対する感受性はいずれの個体群でも高く,長野県における基幹防除剤として適していると考えられた。また,トルフェンピラド乳剤,インドキサカルブ水和剤,ピリダリル水和剤,フロメトキン水和剤については,薬剤によっては感受性の低い個体群が認められたものの補完剤として有効であると考えられた。

  • 金子 政夫, 北林 聡
    2020 年 67 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    In Japan, the sugar beet cyst nematode, Heterodera schachtii Schmidt, was confirmed first in September 2017, on the roots of Brassica sp. cultivated in Nagano Prefecture. In response to this, as an emergency measure to eradicate H. schachtii and to prevent further infestation, multiple rounds of fumigant application were carried out. Cultivation of host crops was then resumed on fields where densities of H. schachtii cysts were observed to have lowered below detectable levels. However, H. schachtii cysts were re-detected in 14% of fields in which cultivation of host crops was resumed. This study was carried out to verify the effect of fosthiazate granules on recurrence prevention in fields in which farming was resumed and to determine appropriate treatment time. For this, nematicide was applied at different times to the low-density field of H. schachtii cysts, and its effect on the density was examined. We found a high control effect especially when the nematicide was applied to soil 7 days before transplanting the host plants.

(果樹の虫害)
  • 松田 成弘, 吉濱 健, 櫛川 聡, 小林 逸郎, 加藤 香織, 南雲 顕太, 三ツ石 昌幸, 吉野 浩平, 新井 朋二, 藍澤 亨
    2020 年 67 巻 1 号 p. 74-78
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    ブルーベリータマバエの発生実態を解明するため,群馬県中山間地(利根郡みなかみ町)および平坦地(前橋市)のブルーベリー露地栽培園並びに中山間地(利根郡みなかみ町)の施設栽培園にて,既報の調査より早い時期から性フェロモントラップを設置し発生消長を調査した。みなかみ町の露地園では既報より早く 4 月 4 半旬には誘殺が認められた。誘殺のピークは概ね年 3 回で,2 カ年のピークの時期は概ね一致した。平坦地では中山間地より気温が高く推移した結果,前橋市の露地園では同じ年のみなかみ町より早い時期から越冬世代成虫の誘殺が認められ,誘殺のピークの間隔が短かった。誘殺のピークは年 5 回で,2 カ年のピークの時期は概ね一致した。みなかみ町の施設園では,殺虫粒剤を土壌処理した2018年と2019年は,土壌処理しなかった2017年と比較して誘殺数は概ね低く推移し,急増する時期は遅く,総誘殺数は少なかった。これらの結果は,越冬世代成虫の発生を抑制する防除や少発生時の防除が効果的である可能性を示唆している。

  • 春山 直人, 八板 理, 福田 充
    2020 年 67 巻 1 号 p. 79-83
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    栃木県内のモモ産地で被害を生じているクビアカツヤカミキリについて,被害樹を伐倒・解体し樹内の幼虫寄生状況を調査した。2018年5月,2018 年 9 月および 2020 年 2 月に各 1 本のモモ樹を解体調査した結果,それぞれ幼 280 頭,66 頭および 39 頭が得られた。幼虫の寄生は特に主幹や主枝分岐部といった低位置で多かったが,最高で株元から 520 cmの位置でも確認された。また,結果枝・側枝では被害は認められなかったが,主枝・亜主枝では直径 4.5 cm以上の枝で幼虫の寄生が認められ,直径が大きくなるほど幼虫寄生密度が高まる傾向があった。幼虫の頭幅は最小 0.7 mm,最大 6.9 mmであった。調査時期による頭幅の分布にほぼ差はなく,いずれの時期でも多様な頭幅の個体が認められた。幼虫の頭幅は寄生位置が樹木の表層から深い位置に向かうほど大きくなった。なお,頭幅の分布において齢に対応すると考えられる明確なピークは認められなかった。

(花卉・花木・樹木の虫害)
  • 安田 智昭, 高木 素紀, 札 周平, 岩堀 英晶, 氏家 有美, 小川 孝之
    2020 年 67 巻 1 号 p. 84-86
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    2017 年 4 月に茨城県神栖市須田のセンリョウ 10 ~ 15 年生樹において,葉色が黄色を呈し,根には黒変や表面の腐敗が生じる未報告の障害が発生し,採取した被害株の根から多数のネグサレセンチュウが分離された。分離されたネグサレセンチュウをキャロットディスク法により増殖し,無症状のセンリョウ苗に接種したところ,根の黒変症状が再現された。被害株の根から分離された線虫は,体長 439 ~ 600 µm,V 値 81(最小~最大:79~85),口針長 15 µm(最小~最大:14 ~ 16 µm),尾部形態は丸みを帯び,唇部体環数は3,痕跡化した卵巣は確認されなかった。分離された線虫の 28S rDNA D2/D3 領域の塩基配列は,キタネグサレセンチュウ Pratylenchus penetrans (Cobb) Filipjev & Schuurmans Stekhoven と 100%の相同性を示した。さらに,前記接種苗の根の黒変部位から分離された線虫も同様にキタネグサレセンチュウと同定されたことから,本症状はキタネグサレセンチュウにより引き起こされることが明らかとなった。これまでキタネグサレセンチュウによるセンリョウの加害は報告がないことから,本種によるセンリョウの病害をセンリョウ根腐線虫病(Root lesion)と命名することを提案する。

農薬の部
  • 増井 伸一, 山根 俊, 土田 祐大, 村田 裕行, 加藤 光弘
    2020 年 67 巻 1 号 p. 87-89
    発行日: 2020/12/01
    公開日: 2022/03/15
    ジャーナル フリー

    To improve the coverage area ratio (agrochemical adhesion area / total area) in orchards sprayed by unmanned aerial vehicles (UAVs), and to clarify the ratio at which the application of a small amount of concentrated chemicals achieves effective control of pests, it is necessary to establish the technology. Using two types of UAVs, we sprayed water over a citrus orchard at the rate of 100 L/ha, and assessed the coverage area ratio of water-sensitive test papers placed in the orchard canopy at three heights (200, 100, 50 cm) in vertical and horizontal orientations. The median of the ratio ranged from 0.35% to 23.0% by unmanned helicopter and from 0.05% to 25.9% by multi-rotor sprayer, while ranged from 21.6% to 99.9% by air blast sprayer spraying 3000 L/ha. The ratio depended on the orientation of the test papers and the installation height, because UAVs can spray only from above the trees. These results show that it is necessary next to clarify the optimal method for spraying citrus orchards by UAVs.

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