2020 年 67 巻 1 号 p. 55-58
ネギネクロバネキノコバエ成虫の効率的なモニタリングに資するため,黄色粘着板にトラップされた虫体の野外での放置期間と種特異的プライマーを用いたPCR成功率との関係を調査した。本種成虫を1枚あたり120頭ずつ付着させた黄色粘着板を,周囲が開けており日光が直射する地点(日向)と南側に建物があり日光が遮られる地点(日陰)に2枚ずつ設置した。調査は春季,夏季,秋季,および冬季の4回実施し,各調査時期について,粘着板設置から1,8,22,36,50,および64日後に虫体を粘着板1枚あたり16頭ずつ回収し,種特異的PCRを行った。PCR成功率は,日向においても,日陰においても,またいずれの時期においても,虫体の放置期間が長くなるにつれて低くなる傾向が見られた。虫体の放置期間とPCR成功率との関係をロジスティック回帰分析により解析した結果,日向と日陰,放置期間で有意差が認められた。また,日向の設置において75%のPCR成功率が確保される放置期間は11.9日以内と推定された。