関東東山病害虫研究会報
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(畑作物・野菜の病害)
トマト葉かび病菌に汚染された誘引資材の温湯消毒やハウス蒸し込み処理による消毒の有効性評価
山内 智史吉田 重信
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2020 年 67 巻 1 号 p. 9-12

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抄録

トマトの施設栽培において葉かび病は重要病害の一つに挙げられる。特に,化学合成農薬の不使用を基本とする有機栽培では本病が施設内で蔓延することがあり,前作で利用した誘引資材等に本病菌が生残し,次作の伝染源となる可能性が考えられる。そこで,伝染源の持ち込み防止を目的として,再利用する誘引資材の温湯浸漬処理を想定し,本病菌の分生子懸濁液を各種温度条件で処理した結果,50℃以上,10分間の条件で死滅した。次に,太陽熱土壌消毒を実施しているビニールハウス内の蒸し込み条件を利用した誘引資材や施設の消毒の有効性を評価するため,2018年9月~10月および2019年5月~8月に,本病菌をハウス内の蒸し込み条件下で1週間静置した結果,いずれの処理時期においても死滅が確認された。以上のことから,温湯浸漬処理やハウス蒸し込み処理は本病菌の殺菌に有用であることが明らかとなった。

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