関東東山病害虫研究会報
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特別講演
薬剤抵抗性管理:ケーススタディから考えよう!
山本 敦司
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2020 年 67 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

農薬に強くなった薬剤抵抗性病害虫が,農業生産者や現場の指導員を悩ませている。そのため,薬剤抵抗性リスクの低減を考えた後手に廻らない薬剤抵抗性管理の必要性がクローズアップされている。近年は、薬剤抵抗性の諸研究としての薬剤抵抗性リスク評価が進展し,試験研究成果も充実しつつある。しかし,その研究成果に基づく薬剤抵抗性管理・対策は現場ファーストに実行しなければならないが,その考え方や方法は生産者にとっては難解である。そのためには生産者と専門家・指導者との間で,現場の問題と技術的解決策を相互に分かりやすく理解しあうための情報伝達とその共有が必要となる。これは双方向の薬剤抵抗性リスクコミュニケーションである。本稿では,薬剤抵抗性管理を難しくしている問題点,その解決策の体系的な考え方を解説する。さらに薬剤抵抗性リスクコミュニケーションが成功した 6 つのケーススタディ(事例)と新たな抵抗性対策法の事例を紹介し成功のポイントを抽出する。それによって,効率的で後手に廻らない「みんなが得する薬剤抵抗性管理」を考え,今後の病害虫防除と農業生産性の向上に繋げたい。

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